2004年12月15日 ハウルの動く城 今日、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』を見ました。なんでこのコーナーに映画の話なんでしょーね…。 というのは『映画』のページを作るのがめんどくさいから…ではなく、(ちょっとはめんどくさいんですが…)この映画のテーマのひとつに 『美しさ』という問題がからんでいるような気がしたからです。 私の大学でのゼミの専攻は、『女性史』です。…といってもフェミニストフェミニストしたものではなく、 映画作品の中にあらわれる女性像を読み取る…というのがひとつの大きなテーマになっているゼミに所属しています。 なので映画を見ていてもなんとなーく女の子がどういう描かれ方をしているのか、その子が抱えている問題はなんなのか、 女の子の行動や外見にどのような寓意が隠されているのか…というようなことが気になってしまうんですね。 そろそろいくらなんでもゼミ論書かなきゃいけない時期ですしね…ふぅ。 『ハウルの動く城』の主人公・ソフィーはしがない帽子屋の長女。なんとなしに帽子屋を継いでしまったものの、日々味気ない…。 『私は長女だから…』という責任感から家業を継ぎ、その『責任』の中で黙々とまじめに生きている女の子です。 帽子屋の家業をほっぽって出歩く派手なお母さん(義母らしい)や、お菓子屋さんの看板娘で、男性に抜群にモテる妹とは対照的に、 ソフィーは主人公なのにとても地味に描かれています。 前者二人は金髪に派手なお化粧、ぷっくりした官能的な唇をしているのに対し、ソフィーは栗色の髪に地味〜な色の服と帽子。 そして、彼女はそんな自分にコンプレックスを抱いています。 ソフィーには『モテない女の描かれ方』の典型が当てはまるのです。 欧米映画の中には、モテるのはブロンドヘアーで胸が大きい女性、 モテないのは黒や茶の髪、眼鏡、マジメ、勉強家で優等生…というような ステレオタイプ的な表現を見ることができます。 まあ…たしかにそういう女性は現実にも不器用な人が多いかもしれません。 そして、ソフィーのように『私は美しくないから…』というようなコンプレックスをどこかで感じているかもしれません。 実際にそういった女性に対する男性の視線には厳しいものがありますもんね…。一歩引かれるというか… まあ、多かれ少なかれ女性は男性の視線が気になるものです。男性の視線を気にすることでファッションや化粧の流行が、 そして女性自身が日々刻々と変化していると言っても過言ではないと思いますよ。そうですよねえ…先生?(独り言) そんなの気にするなんてナンセンスだわ!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、女ばっかの飲み会ではスカートで あぐらかくけど…男の人がいるとできないわよね…ってゆーかブーツ脱いだ後の足、臭いって思われてるかも!! なーんてことありませんか?(どんなたとえやねん…。) 話がだーいーぶそれましたが…『私は美しくないから…』というコンプレックス、それが今回のテーマですがな。 そういうこと感じたことありますよね?…ない人は読まないで下さい!(嘘です。) 荒地の魔女の呪いで90歳のおばあさんの姿になってしまったソフィーは美しい魔法使いハウルに恋をします。 でも自分はしわしわの婆さんだし…ってゆーかもともとそんなにキレイじゃないし!という葛藤からソフィーが叫んだ台詞 『私はキレイだったことなんて一度だってないわ!』 ちょっとズキっときますよね。女の子にとって『キレイ』であることってやっぱりとても価値あることじゃないですか? でもマジメにコツコツ頑張って生きてて、悪いことなんてしてないのに、いいことなんて一つもない!むしろ損ばっかり! それってきっと私がキレイじゃないからだわ!…って思ったことありませんか?(え!?ない…?) ソフィーが雨の中わんわん泣くシーンにはこんな思いが溢れているような気がしてなりません。 しかしそんなソフィーにも変化が現れます。 作中、呪いをかけられて老婆になったはずのソフィーが若返って見えたり、婆さんになったりを繰り返します。 見ているこっちとしてみれば、意味がわからないんですよ。なんで若くなってんの?呪いは?みたいな感じで。 けれどもこういった解釈をしてみてはどうでしょう。ソフィーが『自分は美しくない』というコンプレックスの殻を破ったときに ソフィーの姿は若返って見えるのです。 たとえば、そんなコンプレックスなど忘れてしまうほど必死になっているとき、彼女の姿は若い姿で描かれています。 ハウルを必死で助けようとしているときや、意識を手放して眠っているシーンなどでは大抵若返っています。 魔女の呪いがどんなものだったのか結局よくわからなかったのですが、『自分は美しくないから…』と殻に閉じこもるその『イジケ』が 彼女を老婆のように見せていたのな、と。 そんな殻破って外に出てみなさい!笑顔でいなさい!元気でいなさい!一生懸命でいなさい!そうすれば愛されるんです! というようなメッセージがあるのではないかな…と勝手に解釈してみました。 『下を向かないで…』というハウルの台詞、シーンの中では普通にそのまんまの意味なんですけど、 けっこうメッセージ性のある台詞なのかな…なんて思ってます。 自分を卑下してうつむかないで、前を見て生きましょう!その方がきっと楽しいはず! まだ見てない人はぜひこのような視点でも見てみて下さい!てゆーかハウルがかっこいいんで(笑)木村拓也の声がせくすぃ。 |